尾瀬ヶ原

第四号は大雪山縦走をと思ったが尾瀬ヶ原にしたい。
ここもお薦めの場所であるし至仏山と燧ケ岳の登山行もご紹介できると思う
遥かな尾瀬と言われた昔.尾瀬の入り口の一つ片品村でテニスの合宿をした思い出があるが.
テニスに夢中で.すぐ近くの尾瀬には、入らなかった。

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今回のご案内では登山の苦労話まではいきつきそうもありません。

福島.新潟.群馬.の県境に位置し栃木がその入り口付近を占めるという.本当に不便なところで
長い間マニアだけの場所であった。あったが近年は交通事情が驚くほど良くなった。
三回目の尾瀬入山の際.鳩待峠で新宿より三時間半で着いたというバスツアーの団体と出会って
本当に驚いたことがある。便利になったものだ。

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神戸港にフェリーでやってきました。港にキャンピングカーをおいて買い物

をしたり中華街で食事をしたりしてウォーミングアップしました。

尾瀬に入るには.この他に大清水と.桧枝岐村より沼山峠越えが一般的である。
量子は昔から (夏が来れば思い出すはるかな尾瀬遠い空.ミズバショウ...) とあこがれて
いたと言う。

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初めて入った時は沼山峠から尾瀬沼をめざした。 明治20年東京電力による尾瀬ダム建設に反対
し尾瀬を守り抜いた平野長蔵.長英.長靖の三代に敬意を表したく.長蔵小屋にどうしても泊まりたく
思ったのである。 東電は明治の時代から世の中を騒がせていたのである。

尾瀬ヶ原は至仏山と燧ケ岳に挟まれた長さ六キロ幅二キロに及ぶ日本最大の山岳湿原である。
標高千四百メートルで上高地とほぼ同じであり.快適さと広さと美しさにウットリする。

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あの広いディズニーランド全体の百六倍以上の湖が誰の立ち退きも必要なく出来るのであるから
自然は征服すべきだという.当時の強欲資本主義の輩が狙うのはもっとものことであった。
平野長蔵が一人で反対しその子孫達が守ってきた歴史を知るとき改めて感動を覚える。

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世界の環境汚染は誰も止めようが無く.方法も見つからないのが現実である。
大袈裟でなく地球の表面に棲息する生き物の一人として.孫の代の人々には申し訳ないと思いつつ
せめてこの素晴らしき自然を思い切り味わうことが自分に出来る事かもしれない。

自然保護運動が主題でもなく.それを語る柄でもない。楽しい嬉しい尾瀬の素晴らしさに移ろう。
ほとんどの人が写真で見ている通り延々と木道が整備されている。しかし.次々に現れる地糖(いけ)
やたくさんの花々を見ながらの歩行は決してつらくない.むしろ夏といえども冷たい風が心地良い。
木道は弾力性があり足にはとても優しい。 時々現れる小さな川には必ずイワナが泳いでいる。

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長蔵小屋は尾瀬ヶ原より二百六十メートル高い沼山峠からの入り口付近にあり
二十軒ほどある山小屋の中で最も古く大きい.しかし作りはしっかりしており.ユトリもある。
売店なども大きく喫茶等リラックスできる。   夕方周りを散歩していたら平野家のお墓を見つけた。
初代より四代にわたって経営をしてきた歴史をしのばせる。

尾瀬ヶ原に向かって樹林帯を下っていくと何と蕎麦屋がある.朝食が済んだばかりなのに立ち寄る..
これが旨い.手打ちだった。なるほどと感心する。尾瀬ヶ原が近いのかホッとする雰囲気に変化している。
尾瀬ヶ原は単純な一本道ではない。十数通りのハイキングコースがあり.真ん中近くに見晴らし十字路
がある。ロマンチックな名の竜宮小屋のほか数軒がちょっとした田舎の部落を構成しており中々良い
雰囲気を醸し出している。 別荘を持つ位なら此処に一週間泊まると良い。

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四方を山で囲まれ盆地を成し.湿原となっている尾瀬ヶ原に集まる水の唯一の出口が三条の滝である。
ここが只見川の源流となる。 ここにダムをつくれば簡単に湖が出来ることは述べた。
量子が滝を見に行こうと言い出した。下流なので水量が多くなる。 昔は尾瀬では風呂に入れなかった。

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その時は三日位入っていなかったので.辺りをキョロキヨロ.幸い誰もいない。二人で裸になって川に
ドボーン。  水はあくまで透き通り気持ちの良い久しぶりの行水であった。
後年になって近くの東電小屋付近に熊が現れたと.マスコミが騒いだのでゾーッとした記憶がある。

風呂上りのサッパリ気分で三条の滝に着いた。  大きく立派な滝であった。 こういう場所ですること
は決まっている。 お察しの通りイワナを釣った。国立公園につきリリース。

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標高差の無い平坦な湿原を坦々と歩くのであるから.心にユトリを持って行くとリラックスして楽しめる。
忙しいスケジュールは尾瀬に向かないと思う。池や花.昆虫.魚.青い空.白い雲.
そんな懐かしい昔の日本を味わって欲しい。

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先日.吉野桜と高野山へ友人六名でツアー企画に乗ってみた。吉野桜といえば人間と桜.どちらが多いか
というレベルと聞いていた。 その通りであった。こういう旅はツアーが良い。花見であるから皆でヨタを
飛ばしながら大いに楽しめた。 京都の都まつりなどは向いているのではないか。

上高地や尾瀬の様な繊細で壊れやすい自然の中へは同行する人を峻別すべきと思っている。
.尾瀬に行ったらリラックスである。 名所旧跡の帳面を消すように訪れる旅では余りにも
勿体無い。 大勢の人々の中で感受性を高めて繊細な自然を味わうことは銀座四丁目で座禅を組む
ようなものでとても困難なことだろう。

尾瀬は何故か.懐かしい気持ちにさせてくれる。
少年時代の自然がそのまま残っているからか?
どこまでも広く青い空.真っ白い雲.広い広い湿原緑におおわれた山々.至る所に咲いている花々
トンボをはじめとするたくさんの昆虫。

現代社会から失われてしまったかに見える景色が.これでもかという位.惜しげもなく広がっている。
部分的に残っている景色も場所によってはあるが.これ程丸ごと揃っている場所は他に知らない。

二度目の訪問の時.平野家四代目のお嫁さんに.近いうち子供が生まれるという。 聞けば熊本の岱明町
出身で里に帰って出産したいと言う。 量子の専門分野である。
里帰りしたら電話をもらうよう三代目女性主人に頼んでおいた。後日連絡があり岱明町で自然分娩の
段取りを手配した。

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二年後三回目に訪れた時には一歳前の可愛く逞しそうな男の五代目と面会出来た。
縁というものは楽しいものである。 その後熊本市内で出張蕎麦屋をしている青年を長蔵小屋に紹介
しておいた。 彼は小屋まで出張して蕎麦打ちをして来ました.といっていた。
行動力のある若者は何処にでもいるものだ。

初めに至仏山と燧ケ岳登山行を予定したが.長くなるので後の事としよう。
とにかく尾瀬は.懐かしく.心をほんのりとしてくれる。遠いけれど訪ねる価値がある。

この後また軽井沢をたずねました。 ほんとに好きなんですネ。

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万平ホテルです

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2013.06.20  IN 熊本にて記す